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プロスペクト理論に学ぶFXにおける心構え

僕はいちおう心理学の研究者なので、今日はFXに関係する心理学的理論についてお話ししたいと思います。

歴史上、一度だけ心理学者がノーベル賞を受けたことがあります。
ノーベル賞には「心理学賞」というものがないので、心理学者がノーベル賞を受けることはほとんどないわけですが、カーネマンとトヴァスキーという二人の心理学者は、経済活動などにおける人間の意思決定に関する理論を提唱し、この功績によって2002年にノーベル経済学賞を受賞しました。

この理論はプロスペクト理論というもので、FXやその他の投資に関する書籍やウェブサイトでもよく紹介されるので、ご存じの方も多いかもしれません。
しかし、どうもそうした書籍やウェブサイトでは、この理論についてあまり正確でない説明や、詳細を省略しすぎて論理的でなくなってしまっている説明が多いように思えます。
そこで今日は一心理学者としての立場から、プロスペクト理論について、できるだけ正確で、かつ、わかりやすい解説を試みようと思います。
プロスペクト理論から、投資における人間のクセについて知ることで、より合理的な投資とは何かを考えるきっかけにしていただければ幸いです。

プロスペクト理論の骨子は、ほぼ下の図に集約されています。
横軸の客観的価値というのは、FXで言えば、20万円の利益とか、30万円の損失といった、実際の利得や損失を指します。
中央の参照点というのは利得や損失を考える際の基準(ゼロ)になるポイントを意味します。
一方、縦軸の主観的価値というのは、そうした利得や損失を人間がどのくらいのプラスまたはマイナスとして感じるかという主観的な感覚のことです。
図に示されているように、この理論では、実際の利得や損失の大きさと人間の主観的な感覚は直線的な関係にはないということを想定しています。

プロスペクト理論における客観的価値と主観的価値の関係


具体的に言えば、客観的価値と主観的価値の関係は以下の3つの特徴を備えています。
1.利益であっても損失であっても、その程度が大きくなるほど、主観的価値の変化量(傾き)は小さくなる
2.利益と損失では、損失の方がより主観的価値の変化量(傾き)が大きい
3.参照点は主観的に決定される


それぞれについて、もう少しわかりやすく説明します。
まず1についてですが、例えば、10万円の利益と20万円の利益はだいぶ違いがあるように感じられますが、同じ10万円の差でも100万円の利益と110万円の利益ではあまり差がないように感じられます。
損失においても同じことです。
これはプロスペクト理論に限らず、100年以上前からよく知られている心理学的な法則で、人間の感覚というのは、どのくらいの度合い変化したかということよりも、どのくらいの比率で変化したかということで決まります。
違う言い方をすれば、人の感覚は、引き算(20-10=10、110-100=10)ではなく、割り算(20÷10=2、110÷100=1.1)で決まるということです。
こうした人間の感覚の性質は、投資において何をもたらすのでしょうか。
これは少し考えてみればわかります。
例えば、10万円の為替差益が出たとき、チャートの動きから、まだあと10万円分ぐらいは利益が出そうだと思っても、0→10万円の利益に比べると、10→20万円の利益の方が主観的に小さいものに感じられるため、「予想が外れて利益がゼロに戻るくらいなら、この辺で手仕舞いをしてしまおう」という判断をしやすくなります。
逆に、10万円の含み損が出たとき、0→10万円の損失よりも10→20万円の損失の方が主観的に小さく感じられるため、元のレートに戻るような確実な根拠もないのに「損切りはせず、しばらく様子を見てみよう」という判断をしやすくなります。
つまり、人間は利益が出ている場面ではリスク(不確実性)を回避する傾向があるのに対し、損失が出ている場面では逆にリスクを冒しやすい傾向があるということになります。
なので、感覚にだけしたがってトレードをしていると、利食いは早くしすぎて利益を小さくしてしまい、損切りはタイミングを失って、ずるずると損失を増やしてしまうという利小損大の結果が生じやすくなります。
実際、FXにおいて「退場」を余儀なくされるほどの大きな失敗は、そのほとんどが損切りの失敗によるものと言われます。
負けそうなときは素直に負けを認めるという潔さが、FXを長く続け、着実に資産を増やしていく上では大事になると考えられます。

次に、2についてですが、これは例えば、FXで10万円利益が出たときの喜びと、10万円損失が出たときの落ち込みは、後者の方が大きいということです。
つまり、人間というのは、一般に利益よりも損失に敏感ということを意味します。
みなさんも、日常生活の中で、万事がうまくいっているときにはその幸せを忘れがちですが、一つでもうまくいっていないことがあると、それがなかなか頭から離れないと思います。
この性質は、それ自体は特に問題はないというか、むしろ適応的な人間の性質だと思われます。
実際の場面で考えてみましょう。
今、話を簡単にするために、10万円の利益の主観的価値(重大さ)が10万円の損失の重大さのちょうど半分と仮定します。
この場合、チャートの状態から、10万円儲けられる確率が10万円の損失が出る確率よりも2倍以上大きいと判断できる場合に初めて、利益の期待値が損失の期待値を上回り、エントリーの判断を下すことになります。
つまり、人は平常時には、(予想される利益と損失の量が同程度であれば)勝てる見込みが負ける見込みよりも十分に大きい場合にしか、エントリーをしないということです。
そういう意味で、損失が利益よりも重大に感じられるという性質は、人により慎重な判断をさせる方向に働くと言えます。
FXに限らず、あらゆる勝負事において一番大事なのは、結局、負け戦をしないということに限ります。
そう考えると、利益よりも損失に敏感な人間の性質は、負け戦を抑制するという意味で適応的な役割を果たすと言えます。
こういう性質がきちんと働いてさえいれば、FXはギャンブルではなく、れっきとした投資になりうるわけです。

しかし、このような適応的な判断がまともに働くのは、3の参照点が適切に設定された場合に限定されます。
例えば、FXで10万円の損失が出てしまったとき、多くの人は損失が出る前(エントリーする前)の時点を参照点にしてしまいがちです。
その場合、今は-10万円という状態になります。
そうすると大変なことが起こります。
つまり、そこからさらに10万円を失う重大さよりも、10万円を取り戻す重大さの方が主観的には大きくなってしまうのです。
先ほどの1の性質から、-10万と-20万の差より-10万と0の差の方が大きく感じられるからです。
その結果、負け戦を嫌うという本来の人間の性質が失われてしまい、勝てる見込みの小さいポイントでもどんどんエントリーを仕掛け、さらに損失を増やすというドロ沼にはまってしまうことになります。
不適切な参照点の設定がFXをハイリスクなギャンブルに変えてしまうのです。
これもまた、FXで取り返しのつかない損失を出してしまう一つの要因になります。

こうした非合理的な判断を防ぐためには、参照点を常に現在に持ってくるという意識的な視点の転換が必要になります。
判断を下すときには、常に現時点をゼロとして、そこから利益を最大化するにはどうすべきかを考えなければいけないということです。
直前の失敗にとらわれて、それを「取り戻そう」と考えてしまったら、それはすでに参照点が現在ではなく、失敗の前に置かれてしまっているということです。
時間を巻き戻すことは誰にもできません。
常に、今、ここから、どう動くべきか、それだけを考えればいいのです

こうしてみると、人間の感覚には、1のように損切りをずるずる先延ばしにしてしまったり、3のように過去の損失に執着してしまうといった非合理的な面もあれば、2のように負け戦を嫌うという合理的な面もあるということになります。
こうした感覚のクセをいつも意識し、その非合理的な面を補正しつつ、合理的な面をうまく活かすことで、初めて投資におけるリスクを適切に管理し、リターンを確実かつ安定的なものにすることが可能になると考えられます。

まとめ

・損切りは、感覚に流されず、潔く
・人間本来の適応的な判断が働くよう、参照点を常に現在に置く




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テーマ : FX(外国為替証拠金取引)‐ ジャンル : 株式・投資・マネー

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プロフィール

PhD

Author:PhD
数年前に心理学の博士号を取得し、現在は国内の某大学に勤めています。

本業は心理学なので、経済事情にはまったく無頓着です。
ただ、普段の研究活動では、膨大な調査データを統計的に解析し、法則性を見出すことばかりやっているので、その経験で磨かれた直観は、FXでも多少は通用するようです。

基本戦略は、豪ドルのスワップ+スイングトレードの併用です。
焦らず、驕らず、欲張りすぎずをモットーとし、年利10~20%を目標に、地道にやっていきます。

職業柄、文体は堅いですが、中身は寂しがり屋の子どもです。
コメント、トラックバック、リンクはお気軽にどうぞ。

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